年上女性と蝶と自己ルール
さて、世界中には2種類の人間しかいない
それは
年上派か年下派かである
この世にはたった大きく分けると2種類しか人間はいない
こういうと捻くれた人たちには「僕・私は同世代がベストです〜」とかSNOWででも盛らないとマッチングアプリでマッチもしない面をした奴らが小生意気な顔で湧いてくると思うのだけれど
しっかりと考えてみてほしい
「本当か?」と
君の理想はなんだ?
中高の頃とかに妄想をした恋愛を思い出してみてほしい
憧れの先輩に屋上へ呼び出される
可愛い年下の後輩にお弁当を作ってもらう
夕暮れに告白されるとか
今ではバカにして黒歴史ということにして片付けたいはずの妄想を一度はみんなしているはずだ
こんなことをツラツラと書いている僕はちなみに年上派である
断然にだ
元来、小さな頃から年下とよりも年上と遊ぶことの方が多かったという事もあり、自分が主導権を握るだとか男気を見せるというより
年上に当たる人たちの邪魔をしないようにとかサポートしたりとか話に合わせて盛り上げるとかいうことを経験することの方が多かったからだろう
言い方を悪くすれば年上好きという人間は
主体性もなく、自分で主導権も握れない、年上の心の広さに甘えているだけのわがままなやつだと言えるかもしれない
そんなきついことを尻目にしつつも僕はやっぱり年下より年上派なのだ
同世代にはない落ち着きや会話に出てくる人生経験の豊富さだったりそういうところが好きだ
しかし、世の常として女性というのは年上の男性が好きなのである
マッチングアプリを使ったりしても
「年上が好き」「余裕のある大人が好き」
みたいなことを書いている人がちらほらと散見する
男性のほとんどが年下を求めるのが「若さ」であるように
女性が年上を求めるのは「落ち着きと経済力」なのだ
そんな人ばかりではないのは知っているしそうでなければ
僕もこれから書くようなエピソードには遭遇できてなんかしない
普通の出会いやマッチングアプリやナンパなんかでは相手にされるのが難しいというのに薄々感じつつあった僕は
こんな若造でもしっかり相手にされる場所を大学に入り試行錯誤しながら見つけた
そうそれは
ハプニングバーの料金はまあまあ高いので基本くる人種はある程度絞られるし、こういう場所に興味をもち認知して訪れるのはある程度の年齢になってからであるため
僕的に好きな25〜くらいの女性もたくさん訪れている
そして彼女たちは基本的に好奇心が強いもので僕みたいなハプニングバーに似つかわしくない若造がいたりすると構ってくれたりするのだ
さて
そんなこんなであれは2年前の冬頃、僕はひょんなことから名古屋にきていた
その日は、日中に試験を名古屋駅の近くで受けてその後、名古屋駅周辺で飲んで昔からの知り合いの友達の家に泊めてもらおうとしたのだが
「ごめん!忘れてて今、名古屋おらんわ!」
となり宿を失ってしまったのであった
さて、困った
大して詳しくもない名古屋の街に放り出されてしまった
別にまだ終電の新幹線はあるし帰ってもいいんだけれど
折角普段まずくる事もない街にきているわけだし、試験だけ受けるというのもなんだか忍びない
軽くお酒を一人で飲み、スガキヤラーメンをすすりながら僕は考えていた
クラブ...そんな気分でもないし,,,バーとかに入る勇気もない,,,,
夜の名古屋をグーグル先生頼りに調べていると
そういえば、東京以外にもハプニングバーってあるのだろうか
あるとしたら、名古屋にもあるんじゃないだろうか?
と思って調べてみると
あるある東京ほどではないにせよ、ぼちぼちの数があった
ハプニングバーならお酒も飲めるし、朝までいられる
ワンチャン起きても起きなくても楽しめる
という事で名古屋のハプニングバーで夜明かしをすることを決めたのでした
名古屋駅からよくわからない名古屋の路線図とグーグルマップを見合わせながら
相変わらずの怪しい雑居ビルにたどり着いたのでした
いつも通りにサイトに書いてあるフロアの看板には何も書かれていない
エレベーターで登りドアがひらけば目の前には赤い重々しいドアがある
なぜにハプニングバーのドアは真っ赤か真っ黒しかないのだろう?
チャイムを鳴らし、入会登録と入会金を支払い入場する
中に入れば、東京のバーよりも一回り〜ふた回りほど狭い
しかし、フロアぶち抜きで下の階にまで繋がっているというのだ、イチャコラする部屋は下のフロアになっているようで大胆なことをするなと思いながら
お酒を頼み店内の様子を観察する
ぼちぼち人もきているものの全体的にアットホームな雰囲気だと感じる
東京の場合は、新参者だったりに基本すごい視線を浴びせるのだがこのバーは空気自体が暖かく田舎の飲食店のようであった
旅行者で名古屋自体あまり詳しくないんですよ〜
なのにハプバーくるなんていかれてんなぁ
ですよねぇ
なんて雑談をしながらどんな人が普段きているのかを聞いたりしつつ
今日はイベントデイだったので鍋をつついてバーにいた人たちと少し談笑をする
緊縛界隈で有名らしいおじいちゃんに緊縛の尊さやどんなことをしているのかエピソードを糸こんにゃくを使いながら聞いていると
20代後半だろうか?と思われる細身の綺麗な黒髪をしている女性が隣に座っていた
僕はじゃがいもと人参はどちらが攻めで糸こんにゃくをここからどうするのか夢中になっていて少しも気づかなかった
隣に座った女性は明らかに美しかった、影のある美人とでもいうべきか
薄暗い店内で空気を変えるような存在感を放っていた
おそらくあまり来ない人なのか初めてきた人なのだろう
周りの常連さんたちとも特に親しげに話したりするというわけでもなく座っていた
外から入ってきてすぐだったからか、まだまだ寒そうにしていたし折角のイベントデイの鍋もまだ食べていない様子だったので
僕は箸を渡しつつ、お皿とおたまを取りながら彼女に
「寒いですね、仕事帰りですかね、お疲れ様です。何か食べますか?」
と訪ねた
「寒かったです!ありがとうございます。すいません、適当に見繕ってください笑」
と彼女も綻ばせながら返してくれた
僕は内心ほっとしつつも、思ったよりも気さくで可愛らしい人だなと感想を持っていた
二人で鍋をつつきながら、軽くお互いのことや世間話をしていた
やはりこういうバーには慣れていなくてほぼ初体験ということらしく僕も名古屋にこういうところがあるだなんて知らなかったです
と話していると
周りの何人かの女性がコスプレしているのが気になったらしく
「興味があるんですか?」と聞いてみた
「いや〜笑かわいいなあとは思うんですけど切る勇気なんてないです笑」
僕は企みつつ
「見に行くだけ行って見ましょ笑きてみたとしても素敵だと思いますけどね〜細身でスタイル綺麗ですし、際どいのばかりというわけでもないですし」
「そ、そう??じゃあ見るだけみてみようかなぁ」
なんてやりとりを経て二人でコスプレ衣装を色々とみてみる
その中に細身のぴったりとしたドレスのようなもがあった
その一つだけ彼女の反応が違うのに僕は気づき
きてみるように促してみた
恥ずかしいとか似合わないとか言い訳をしてはいたけどそこまでまんざらでもない様相だったので軽く押してみたらきてくれることになったのだった
着替えている間僕は鍋のこんにゃく緊縛の復讐をして待っていた
風俗もそうだけど、待ち時間というのは人生でも指折りで密度の濃い時間だと思っている
あの素敵な女性がどんな風に現れるのか、それを目の前にした時に僕は果たしてなんとコメントすべきなのか傷つけず、好意的に捉えてもらうにはどうすれば良いのだろうか
と圧縮された時間を過ごすのだ
手では糸こん緊縛をしているが人参を捉えることはない
心中に至っては脈がどこぞのクラブのフロアが湧いている時ばりのBPMを刻んでいる
そんなことを思っていると
パタパタと足音がこちらに近ずいてくる音が聞こえる
僕は糸こんと人参を起きながら軽い深呼吸をし、意を決して振り返る
目の前には予想通り着替えてくれた彼女がいた
その時僕はいつぞやでもふれたように男ってのはやはり愚かだなと思うのだ
冬の時期の私服の時点でスタイルがいいというのがわかるのに、タイトなドレスをきたらどうなるのか
綺麗な黒髪な人に白のドレスを合わせたらコントラストの映えがどんな効果をもたらすのか
僕の浅はかな人生経験と語彙ではそんな素敵な女性を褒めるたとえも言葉も出てこなかったのである
ただただ、生唾をのみ深く軽く調息し「...すごい綺麗ですね」と目をパチクリさせながら伝えるので精一杯だったのだ
そんなことしか言えないからダメなんだと自分の行いを攻めつつ失望したかなと彼女を見ると
「,,,ありがとう笑むちゃくちゃ恥ずかしいんだけど笑」
と少し照れながら答えるのだった
なんだかその後はお互いさっきまでの談笑というわけには行かなくなり少しして
下の秘密の部屋に向かうことにしたのであった
下のフロアは大部屋でそう言えばどこに行ったのかと思っていた糸こんにゃく先生がもう一人男性と一緒に女の人とプレイをしていた
二人して少しクギ付けになりはしたものの先に僕がシャワーを浴びに行く
片方づつしかシャワーを浴びれないのが難点ではあるが一旦心を落ち着けることができるのでありがたかった
さっと用を済ませ彼女とシャワーを交代する
待っている間に糸こん先生のプレイをみていると凄まじい声を女の人が出しながらまさしく狂っていた
僕は見入りながら、先生が若い男の人に教授していたことに耳を傾け続けていた
それらのことは役に立つことばかりで、こういう場じゃないとわからないよな,,,と心で思っていた
噴水のようになっている女性が力尽きる頃に彼女も戻ってきた
少し緊張からかしおらしくなっている彼女を隣に座らせて緊張をほぐすためにも軽く談笑を挟む
すると向こうがまた始めたような声が聞こえてきた
「若造なもんで、ああいいったレベルを期待してたらごめんなさい,,,」
「笑大丈夫だよ、むしろ困るから笑」
といってキスをした
さっきまでしおらしく照れていたはずだったのに、スイッチが入ったのか彼女の本性が見え隠れしてきた
女性の仮面というのは本当に怖い、さっきまでのイメージを打ち消してくる
年上の清楚な見た目と裏腹に今までの人生経験やスキルの差が如実になっていく
気づけば主導権も体制も彼女が上になっていた
僕はスベスベでしっとりとした20代の女性とはまた違うしなやかさに感動しながらお互いに脱いだのだった
スタイルがいいと思っていたのは間違いなんかではなかった
上に乗りながら、妖艶でいいたずらな視線を僕にくれながらお互い楽しんでいた
早打ちの僕だが、不死鳥と誰かがいっていたように再生は早い二回戦目のコングは彼女によって鳴らされた
グデっとしていた僕にまた上に乗ったかと思えばそのままくるっと背を向けたのだ上に股がられたまま背を向けられ不思議に思った僕は体を起こした
動き出した彼女とともに目に映ったのは羽ばたく蝶だった
彼女がリズミカルかつ探るように腰を打つたびに腰に映った蝶はひらりひらりと羽ばたいた
ーひらりひらりと舞遊ぶように姿見せたアゲハ蝶
夏の夜の真ん中月の下
喜びとしてのイエロー憂いを帯びたブルーに
世の果てに似ている漆黒の羽ー
脳内にはポルノグラフティのアゲハ蝶が流れていた
目にクギ付けだった、みてはいけなかったのかもしれない
僕は夢中になっていた、美しい,,,ただただ美しい....
夢中に動く彼女の姿も、体の動きも、女性という存在そのものに感動していた
一度賢者を挟んでいるからなのか僕は自分の本能と性的快楽による反射を超えた芸術をみているかのような感覚に襲われた
一種のトランス状態だったのかもしれない、今までに感じたこともない下からも伝わってくる包まれるようなマグマのような熱さも手伝ったのか僕らは夢中になった
夢うつつもさめお互いに満足して寝転びながら何を話そうか考えていた
僕は何か言わねばと言葉を発そうとした矢先だった
「あ〜あ 息子くらいの子としちゃったなぁ」
僕は時が止まっていた
疲れ切った頭はこんな時でも動いてくれていた
さて、整理しなくては
この言葉から推定される年齢はいくつ...?
とにかく母より上だろうか下だろうかそこが何よりも問題だ
僕は当時年上好きだったものの、なんとなく自分の母より上とはしないことにした方が良いのではないのかとうすぼんやり考えていた
流石に母に近い年齢の人は見た目でわかるだろうし、よっぽど予防線を貼る必要なんてないだろうとたかをくくっていた
それがどうだ、このざまである
だがとにかく何歳であろうと、動揺することもましてやそれを悟られることもあってはならないのだと僕はあらゆる思索をめぐらしながら
決して悟られまいと落ち着かせながら言葉を口にした
「え!そうだったんですか?若いのにお子さんいたんですか??」
「そうだよ〜笑 」
「ちなみに何歳なんですか??」
「36だよ〜」
僕の心はわかりやすく平穏を取り戻していた。
超えていたら、超えていたでまたひとつ新しい発見があったとは思うのだが
なんとなくだがまだ早いかなと思う
僕たちはその後ひとしきり言葉をかわし
もう一度シャワーを浴びて、鍋を食べに戻っていったのだった
僕はどっと疲れがきてフロアの隅っこで気づけば寝てしまっていたのだが
目を覚ました時には彼女は帰っていた
なんなら僕一人しか残っていなかった
釈然とはしないまでも素敵な夢をみた後のように僕は冬の名古屋の風で現実に戻っていく
僕は歩きながら、年上の女性の熱としなやかさ
タトゥーの美しさを思い出しながらも
冬の季節風と女性の底知れぬ神秘性に震えつつ
『タトゥー 女性』
と検索しながら東京に戻っていったのだった